マティス展に行ってきた(絵のお稽古番外編)
東京都美術館で開かれているマティス展に行ってきた。啓蒙的で見応えがあった。マティスという人が、次々に絵画手法を取り入れて実験するタイプだったことがよくわかる。セザンヌ風の自画像に始まり、点描画をやってみて、フォーヴィズムに行きつき、その後キュビズムも取り入れて、穏やかな画風に戻って、晩年は切り絵をやったり建築をやったり…。画家としてのスタートが遅かった分、貪欲に知識や技術を吸収しようとしたんだろう。でも、最初から最後まで、窓や椅子や画中画など、こだわりのモチーフは変わらなかったということもわかった。楽しくて勉強になる展覧会だった。
そして何より、自分の絵の見方が変わったことに気づいたのが収穫だった。私は先月から絵を習い始め、初回のおけいこでは黒い鉛筆で芍薬の花を描いたのだが、たったその一回の経験だけで、マティスの木炭画や鉛筆画(?)が全然違って見えた。例えばバイオリンの絵の、バイオリンの縁のところを、なぜより濃くしなければならないのかがわかる。木々と家々の風景画も、なぜその線にしなければならないのかがわかる。「あー!わかるわかる!」ともうそればっかりで、嬉しかった。
絵を見るには、絵を描くのが一番いいみたいだ。今回そう思ったのは白黒の作品だけだったので、もし展覧会に来る前に、色を使って描くレッスンを受けていたら、カラフルな作品がもっとわかったんだろうな、と思ってちょっと残念だった。
マティスが彫刻を作っていたのも頷ける気がした。人体を実際に三次元で作ってみた方が、二次元の絵画にする時にやりやすいんじゃないかな、と思った。前回の絵のレッスンで、実際には描かなくても芍薬の葉っぱの裏側や付け根を見た方が、格段に描きやすかったからだ。
それにしても、マティスはずいぶんと中東からインスピレーションを得ている。1910年の5月にミュンヘンで開催されたMeisterwerke Muhammedanischer Kunst (ムハンマド美術の傑作)という展覧会にも行ったが、これは約250の国際コレクションから約3600点もの品が出品された、イスラーム美術の展覧会としてはかつてない規模のものだったそうだ。マティスはこれに刺激を受けたらしい。
その前後にアルジェリアやモロッコにも旅行して、オリエントの絨毯とかも集めていた。そういう目で見てみると、画面に登場する鮮やかな赤と青と黄色の組み合わせなど、ラマダーン月にエジプトでよく見かける布地(ハーヤメーヤ柄)に似ていると思った。人がマティスの絵を見て心ときめく理由の一つは、何といっても鮮やかな色使いにあるわけだが、中東はそれを理解する上で、かなり重要な鍵になるのでは?…とこれは素人の思いつき。でも、いずれにしてもマティスの「東洋趣味」について、もう少し学びたい気がする。
(実は今回、チケットはプレゼントでいただきました。本当にありがとうございます。絵を見る喜びを、思う存分味わいました)
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