サウジアラビア映画「The book of Sun」(2020)
2010年のサウジアラビア、ジェッダ。高校3年生のユーチューバーで映画オタクのホサームは、ひょんなことから同級生たちと低予算ホラー映画を作ることになってしまう。ところが制作過程はトラブル続き。果たしてホサームは映画を完成させることができるのか。そして彼の将来は…?
長らく映画産業がなかったサウジアラビアでも、近年少しずつ映画監督の活躍が伝えられるようになってきた。2018年には映画館も解禁になり、本作もジェッダやリヤドの映画館で上映されたようだ。
男子校を舞台にした青春コメディーということで、同級生との友情や、人生の目的を見いだして生きることの尊さが、直球勝負で描かれる。ホサームをサポートする先生もいい。
監督は相当な映画・ドラマ好きなのだろう。劇中では欧米の映画作品の名前が色々と(最後には日本のアニメも)言及される。ホサームは、グエンティン・タランティーノ、デイヴィッド・リンチ、ウェス・アンダーソンを見てきた自分にとっては、サウジアラビアの人気TVコメディシリーズ「ターシュ・マー・ターシュ」などは時代遅れなんだ、と言うが、これがサウジアラビアの若い世代の気持ちなんだろうな。物語にはさりげなく検閲の問題も入っていて、とにかく自分たちの新しい感性で、好きなようにどんどん作らせてくれ、というメッセージが伝わってきた。
学校ではもみあげ禁止とか、イスラームの五行(スンナ派の五つの義務)を生徒5人で説明する発表会をやっているとか、サウジアラビアの男子校の様子もうかがい知れて面白かったし、ホラー映画のアイディアを話しあう時、「沙漠で一人で礼拝していると、なぜか唱和する声が聞こえてきて…」とか「モスクで一人で礼拝していると、右側に殺された友人が…」とか、なぜか礼拝がらみになっていたり、ホラー映画の中で、やたら『クルアーン』が言及されるのも、イスラーム圏ならではという感じがした。
原題は、「諸霊知の太陽」(アフマド・アル=ブーニー著とされる13世紀の呪術書の名)。
ファーリス・クドゥス監督、2020年

コメント
コメントを投稿