「ポール・ジャクレー全木版画展」
信濃追分の追分宿郷土館で、「ポール・ジャクレー全木版画展」をやっていると聞いて行ってみた。
まず、「フランス人浮世絵師ポール・ジャクレー(1896~1960)」なる人がいたことを知らなかったし、軽井沢に住んでいたことも全然知らなくて、もう驚いてばかりだった。
ジャクレーの木版画は、江戸時代以来の浮世絵の多色刷りの技法を用いたもの。絵師と彫り師と摺り師がチームを作って版画制作に当たる。下絵に使っていたのが筆ではなく鉛筆だったため、線がとても繊細なのと、テーマが南洋や韓国、中国など幅広いところが伝統的な浮世絵とは違う。
何というか、目をとらえて離さない不思議な絵だった。確かに浮世絵っぽいというか、いわゆる影のない平面的な絵なのだけれど、浮世絵とは明らかに違っていて、脳が認識するのに手こずっている感がある。そして何という色の美しさ。何という細かさ。版画の技術の高さに息を飲む。
個人的には中国の女性の切れ長の目が、とても美しく表現されていて良かった。
館内では、ジャクレーとも親交のあった版画家、川瀬巴水が木版画の制作過程を解説したDVD『版画に生きる川瀬巴水』が流されていて、これも見応えがあった。スティーブ・ジョブズの美意識の原点ともなった巴水の版画がこんな風に作られていたのか…と興味深くて、思わず最後まで見てしまった。

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